援助交際


「援助交際」という言葉自体は以前ほど注目を浴びることがなくな りましたが、これは世の中に定着してしまっただけで、実態は以前 よりその数は増え続けています。 まず、中高生の携帯電話の普及がそれらを助長しています。様々な アダルトサイトや学校の先輩やバイト先の同僚などからの口コミ情 報も多く、子ども達がこれらを防ぎきるのが困難な状況です。 そして「援交」の一番の魅力は簡単に稼げることにつきます! ブランド物のバッグがほしい。男の子と遊びたい。かわいい服を買 いたい。女の子の欲求を満たすにはお金が必要なのです。 先輩や同僚から「簡単に稼げるバイトがある」と紹介されれば誰で も興味を持つでしょう。 入り口はそんな安易なことから始まるのです。「援交」の相手の多 くは彼女達にとって「お兄さん」「おじさん」世代の男性です。 その両者をつなぐのが「携帯サイト」です。先ほども述べたように 携帯サイトへのアクセスは簡単な上、「パケット定額」などでより 気楽になり、その需要は増すばかりです。実際「援交サイト」は女 性無料で男性有料というシステム。無料で気楽に登録できるという のも危険な罠のひとつなのです。アクセスをすると掲示板にメッセ ージを残し、そこへアクセスした男性とやりとりをするわけです。 値段交渉も以前より定額化していて男性側からも利用しやすくなっ たという問題点もあります。数年前までは最低のレートで5万円か らというパターンが多かったのですが、最近では2万円平均、女の 子によっては1万円や1万5千円とディスカウントしています。都 心部では女の子の需要も多いものですから男性側も簡単にエッチが できるとリピーターも多いようです。早ければ掲示板に書き込んで から1時間後には知らない男性とホテルにいることになります。 では、なぜ女の子達は簡単に「援交」に走るのでしょうか?まず考 えなければならないのが「性」に対する軽薄さだと思います。読者 の皆様もそうだった方もいらっしゃると思いますが、10代の少年 少女は早く経験をすること、多くの異性と関係を持つことがひとつ のステータスとなっています。そんな世代ですから彼氏・彼女をつ くる年齢もどんどん低年齢化しています。LOVE&PEACEの事務局長の 娘は中学1年生ですが、当然のように彼氏がいます。 中高生では「愛」というより「快楽」の方が思考の中で優先されて しまい、気に食わない相手でなければ簡単に身体の関係を結んでし まうことも珍しくありません。 学校での性教育の授業では単なる「行為」の説明や「避妊」の知識 を教えているだけで「心」の問題はまったく置き去りにされている のが現状です。 まず、母親世代がバブル絶頂期に「パパ」を作ってた世代になって きますので親自体の感覚も「性」に対して甘い人も多いですね。親 も子もまず「知る」こと、そして「考える」ことをしていかなけれ ばならないと思います。


街頭で出会った子、LOVE&PEACEに相談をしてきた子、またその友達 など、数多くの「援交経験者」の女の子と会いました。罪悪感を持 っている子もいれば、まったく意に介していない子もいてタイプは 様々です。 罪悪感のない子は「ビジネス」だと言い切る子もいました。そうい う子の言い分は決まって「自分の身体なんだから何をしようと自由 だ」というものが多く、罪悪感を持っている子の大半は親や彼氏に 対して後ろめたい感情を持っている子が多いようです。 しかし、そのすべての子が、普通に学校に通ってる「普通の子」な のです。いかにも!といった子も中にはいますが、中高生に限って 言えばほぼ全員が普通の子でした。 今年の春頃にLOVE&PEACEに相談をしてきた21歳の子がいます。彼女 は800万円を越える借金の返済に困って相談をしてきました。ホスト に騙され借金を重ねてしまったのです。高校生の頃から手を染めて いた「援交」でお金を稼ぎ、贅沢を覚え、金銭感覚が完全に狂って しまっていました。ミナミのキャバクラで働いていますが、生活が 派手でとても返済にまでお金が回らないということです。そのよう な理由が裁判所に通じるわけもなく、自己破産も民事再生も無理と いうことで結局はお父さんに肩代わりしてもらいましたが、普通の サラリーマン家庭で800万円は大きすぎる金額です。 彼女はお父さんに頭を下げて事なきを得ましたが、10代の頃に贅沢 を覚えてしまうと簡単に普通の生活には戻れません。お金の稼げる 仕事、キャバクラや風俗店などのお店に行きついてしまう子も多く います。まだ若い女の子を手玉に取る男たちも危険な存在です。 「援交」で相手にしているオヤジとは全然違う口の上手い男達は繁 華街にはゴロゴロいます。またその背後には暴力団関係の人間が必 ずと言っていいほど存在しています。 このような人間に関わると骨の髄までしゃぶりつくされてしまいま す。借金を背負わされて「風呂に沈められる(ソープランドに売り 飛ばされる)」子も多く存在するのです。人生を棒に振る・・・ 「援交」の延長線上にはこういう恐ろしさもあるということを知っ てほしいと思います。


最近のニュースに女性が監禁されて暴行されるという事件もよく耳 にします。行きずりに襲われるという不幸な事件もありますが、出 会い系サイトで知り合って「援交」目的で会いに行って事件に巻き 込まれるという事例も多く報道されています。 LOVE&PEACEに来た子の中にも複数の男の子に半ばレイプ状態という 被害にあった子もいました。相手の氏素性など何もわからず本人と 両親の意向で告発をしないことになりましたが、今や一般人の中に も危険な人間が多数いる時代です。見知らぬ男性と二人きりで出会 う無防備な援助交際の危険を当の本人達は被害にあうまで気づくこ とがありません。 今回は援助交際の危険についてお話をしましたが、次回は援助交際 をすることで変化する心と身体についてのお話をしたいと思ってい ます。特にお母さんには援助交際をしている子に限らず、娘さんと の「母子」の関係を深め、女の子の心と身体について話し合う場を 持つことをお勧めします。


援助交際における危険、ヤリ逃げ、恐喝、拉致監禁、補導・逮捕、 退学、性感染症・・・ しかし、このような危険があることはほとんどの子が頭ではわかっ ています。誰もがある程度の後ろめたさは持っていますが、基本的 に「犯罪行為」だという認識は薄く、彼女たちの言い分は、「誰に も迷惑をかけていない」男性は欲求をみたし、女性はお金をもらう ・・・お互いが納得していること・・・ これはまず、性に対する意識の低さという問題があります。性体験 の低年齢化が進む中で16〜17歳くらいになるとある程度の経験を持 った子たちは、初めて出会う年上の、しかも時には自分の親より年 上の男性と関係を持つことの恐怖・・この恐怖さえ乗り越えて短時 間に簡単に収入を得ることに味をしめてしまったら簡単にはまり込 んでしまいます。 そして性感染症。援助交際は何も少女に限った話ではなく大人の女 性、普通の主婦にも多く、男性もサラリーマンだけでなく若い子も 多く、その人種は多岐にわたり、性感染症にかかっている人も多く いると思われます。この性感染症の連鎖は恐ろしいものであっとい う間に伝播していきます。特に複数のパートナーを有する人が増え ているため、クラミジア感染症、HIV感染症は増加の一歩をたどって います。いずれも病院での治療は可能ですが、クラミジアの場合は 妊娠しにくい身体になってしまったり、HIVは以前のように死に 直面することは減っていますが、大量の投薬と多額の費用がかかる という問題があります。性感染症に関することは省略しますが、今 の少女達にとっても恐ろしい問題なのです。 そして心の問題。彼女達は簡単にお金を稼ぐことで世の中をナメき ってしまいます。特に自分達を指導する立場にある親や教師らと同 年代の大人が近づいてくることで、大人なんて結局ヤリたいだけじ ゃないかと感じ、大人のいう言葉に耳を傾けなくなる子が非常に多 いのが現実です。いくら大人が「援助交際はいけない」と言っても 説得力のカケラもありません。彼女たちはもっと耳に心地いい話を して、カッコイイ少し年長の20代前半の男の子の方に憧れを抱きま す。それはそれでいいのですが、中には女の子を転がす悪い連中も 多いことに気づきません。 とにかく親、特に母親の役割は大きく、小学生高学年から中学生時 に女性として話をし、話を聞き、恋愛に関してももっと積極的にコ ミュニケーションを取ることが大事だと思っています。思春期と言 われる年頃は大人はわかってくれないと感じると、どんどん心が離 れていきます。お母さんが娘と話をする、買い物に一緒に行くなど のことをするだけで、娘は母親に何でも相談してくるようになりま す。子どもに押し付けはよくありません。一緒に考え、一緒に悩み 一緒に成長していくような感覚で過ごしていくことで、子ども達か らはお母さんが憧れの女性像となっていきます。こうしたコミュニ ケーションをとっていくことで子どもの成長の方向性が大きく違っ てくるのです。


(特活)LOVE&PEACE
代表理事 阪上義昭

 

 

このコラムは「ピースジャーナル」2007年
9月号・10月号・11月号に連載されたものです。

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